相続Q&A
- Question
- 預貯金を引き出したり解約すると相続放棄できませんか?
- Answer
結論としましては、預貯金を引き出したり、解約・払戻しをしたことのみを持って相続放棄ができないということにはならないと思いますが、それを私的に処分(消費等)したりすると相続放棄ができなくなる可能性があります。
相続が発生した場合の選択肢としては大きく分けて3つあります。
単純承認(相続する)・相続放棄(相続しない)・限定承認(条件付きで相続する)の3つです。そして、相続放棄をするためには一定の要件を満たしている必要があり、相続財産(遺産)の全部又は一部を処分していないことが要件として挙げられます。
簡単に言いますと、相続財産を使ったりもらったりしたら相続放棄できないよということです。
その場合には単純承認をしたとみなされますので、通常の相続手続きを進めることになります。一方で、相続財産を管理するための行為や保存するための行為は処分行為とはされません。
つまり相続財産を守る行為は処分行為とはされず、当該管理行為や保存行為をしても相続放棄は可能となります。さて、相続放棄は相続財産について処分行為をしているとできないわけですが、実はどのような場合が処分行為に該当するのかが明確ではありません。
ある程度は判例等によって明示されていることもあるのですが、個々のケースに応じて判断する必要があるのが現状です。では、被相続人の預貯金を引き出したり、解約することは処分行為に該当するのか?ということですが、処分行為に該当しないと考えます。
もちろん、どのような目的で引き出したりしたのかによって結論は異なると思いますが、単に引き出したり解約しただけでは処分行為に該当しない可能性は高いです。
しかし、そのお金を私的に消費してしまった場合などは、処分行為に該当し、それ以後相続放棄ができなくなる危険性は大いにあります。つきましては、知らずに被相続人の預貯金を引き出したり、解約・払戻しをしてしまった場合には、そのお金は1円も使わずに保管しておくことが賢明です。
そして、無事に相続放棄が認められたら、次順位の相続人に当該お金をそのまま渡すことになります。いずれにせよ、相続放棄を検討している場合には、相続財産(遺産)には一切手を付けないことをおススメいたします。